高校のダンス部の顧問になり、ダンスを観ている時、これまでずっと考え続けていたことがある。
宮大工、西岡常一の言葉だ。
「木にはそれぞれ癖があり、一本一本違います。産地によって、また同じ山でも斜面によって変わります。まっすぐ伸びる木もあれば、ねじれる木もある。材質も、堅い、粘りがあると様々です。木も人間と同じ生き物です。
いまの時代、何でも規格を決めて、それに合わせようとする。合わないものは切り捨ててしまう。人間の扱いも同じだと思います。法隆寺が千年の歴史を保っているのも、みな癖木を上手に使って建築しているのです」
一条高校ダンス部のダンスを観ながら、この名匠の言葉を何度も繰り返し考えてきた。法隆寺や薬師寺の修復に携わった宮大工の言葉を。その箴言を
ひとりひとりの癖や個性を排除することなく、それらを上手く組み合わせて踊ることは出来ないか。そんなチームがあってもよいのではないか。
そんなダンス部がひとつくらいあっても面白いのではないかと。だからそんなダンスを一条高校ダンス部は今も踊り続けている。
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